「 こ れ も 京 急 ! ? 」 な 取 り 組 み 紹 介

その部品、捨てるなんてもったいない! 元・運転士の挑戦

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電車の車両には寿命があり、古くなった車両は解体・廃棄されます。一方、「鉄道部品マニア」たちは、古くなった部品にこそ魅力や価値を感じ、収集します。そんな需要と供給をマッチングさせたのが、京急の元・運転士Kさんが起案した「京急ワンダーランド」の企画。自身も鉄道部品収集が趣味だというKさん(現在は、京急電鉄 新しい価値共創室に所属)に、取り組みの背景やビジョンをお聞きしました。


―「京急ワンダーランド」とはどのような企画なのでしょうか?

鉄道を丸ごとアミューズメントパーク化し、コアな鉄道ファンだけでなくファミリー層やライト層にも京急の魅力を発見して楽しんでもらいたい。そんな思いから、「京急ワンダーランド」と名付けた企画を立ち上げました。具体的には、京急の魅力を体感してもらえるよう、鉄道部品の販売・オークションイベントなどの体験型の企画を考案・実施しています。

―起案のきっかけは何だったのでしょうか?

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私自身、子どもの頃から鉄道が大好きで、特に部品収集に力を注いできました。自宅には、電車の車番プレートや行先表示器からドアまで、さまざまな鉄道部品があります。京急に限らずあらゆる鉄道部品を集めてきましたが、あるときから京急の部品が出回らなくなり、仲間内でも「どうしたんだ」「もったいない」「売ってほしい」という声があがるようになりました。以前は京急も自社イベントなどで鉄道部品を販売していたのですが、コロナ禍以降、イベントは子ども向けの企画が中心になり、マニア向けの要素の強かった部品販売もやめてしまっていたんです。引退した車両の部品の多くは、鉄くずなどとして廉価で売却されます。私たち鉄道部品好きからすると、これほどもったいないことはありません。また、京急としても、収益を得る機会を損失してしまっています。この状況をなんとかしたいと考え、部品の取得・販売事業案を起案し、新規事業の社内公募に応募しました。

―その後、事業化に向けてどのような動きがあったのでしょうか?

幸いにも、新規事業候補の一つに選ばれ、実証実験や評価・分析を行う機会を得ました。最初の実証実験としてやったのが、鉄道部品のWeb抽選販売です。商品14個に対して299件の申し込みがあり、高価格帯でもニーズがあることがわかりました。また、鉄道部品好き界隈では「京急が部品販売を再開した」と反響があり、手応えを感じました。その後、第2弾の実証実験として、私が起案した4つの有料の鉄道関連イベント案に対して、どれに参加したいか投票してもらう、という企画を行いました。4つとは、「鉄道部品リアルオークション」「乗務員経験者トークショー」「鉄道部品のアップサイクル体験」「鉄道コンセプトルーム宿泊」で、男性の最多票を集めた「鉄道部品リアルオークション」と部品のリアル販売会を、第3弾の実証実験として行いました。


―鉄道部品リアルオークション&販売会はどのように行なったのでしょうか?

今年(2026年)の5月に、京急百貨店で開催した鉄道イベントの一環として行いました。オークションも販売会も事前購入のチケット制とし、販売会については不公平感がないよう番号順に価格差や時間差をつけ、かつ、「内覧会」で品定めをしたうえで購入ができる仕組みにしました。私自身が部品購入イベントで感じてきた課題や不満を解消するべく、考えた結果です。また、オークションは、鉄道に詳しい京急社員と私による「鉄道部品トーク」を交えつつ行ったのですが、トークへの関心も高く、会場には参加者以外にも多くの方々が集まってくださいました。コアな鉄道部品ファンはもちろんのことながら、家族で参加された方やお子さんの姿も多く、当初の狙いだったファミリー層やライト層にも興味をもっていただけたのではないかと思います。

―ちなみに、オークションや販売会ではどのような商品が出品されたのでしょうか?

社内の各部の協力を得て、ドア、座席、ヘッドマーク、側面表示器…と価格も含めてさまざまな商品を集めました。第1弾で行ったWeb抽選販売の価格を基準に値付けをしたのですが、オークションでは開始価格が7万円の商品が35万円で落札されたケースもありました。落札者さんにお話しを伺ったところ、高校生当時、通学の際に乗った思い出があり絶対に落札するという強い気持ちで参加しました。と、予想以上に価値を感じてもらっていることに驚きました。また、ライト層にもウケがいいのではないかと考え、「吊り革」も多数販売しました。いろいろな鉄道イベントに足を運んで視察した結果、1,000円だとすぐに売れてしまい2,000円だと売れ残っていたので、今回は1,500円に価格を設定。付加価値として、吊り革を固定するための留め具とネジをつけました。これが好評で、鉄道部品初心者からコア層まで、多くの方々にご購入いただきました。

―落札者や購入者の反応はいかがでしたか?

参加者アンケートをとったのですが、概して満足度は高かったですね。一般的に鉄道部品の販売会は、前夜から並んだり、順番云々に関してトラブルが起きたりといったことがありがちなのですが、そのようなこともなく快適にご参加いただけたのではないかと思います。そのためか販売会には大人だけでなく子供も参加してくれました。中でも印象に残ったのは800形のドアを目当てに参加し、購入してくれた中学生で「将来の夢は京急に入社すること」としっかりした眼差しで話してくれました。
また、今回は京急百貨店の協力もあって、購入品の丁寧な梱包や発送がスムーズだったことも好評でした。


―今後はどのような展開を考えていますか?

8月には第2回目のWeb抽選販売を行い、今後も定期的に実施する予定です。オンラインに加えて、リアルな場での販売も続けていきたいと考えています。対面でコミュニケーションをとるなかで、どういう部品に対してニーズがあるかが吸い上げられますし、トークショーなどは京急ファンの獲得にもつながります。また、第2弾の実証実験では、女性を中心に「鉄道部品のアップサイクル体験」にも多くの票が集まったので、例えば、座席シートの布を使ったワークショップなども企画したいと考えています。さらに、某ホテルとのコラボで京急のコンセプトルームを企画・販売することも決まっています。好きなことを仕事にできている今はとても充実しており、毎日ワクワクしています。

―「京急ワンダーランド」を通してお客様にどのような価値を提供したいですか?

京急ワンダーランドの目的は、お客様に楽しんでもらい、京急の魅力を知ってもらい、京急を好きになってもらうことにあります。そして、究極の目標は、「京急沿線に住んでみたい」と思ってもらうことです。鉄道部品の販売は、あくまでも手段の一つ。京急ファンを育てるためにも、「京急でどんな体験がしたいか」というニーズをつかみ、それに応えるような体験を提供していきたいです。

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「 こ れ も 京 急 ! ? 」 ポイント

廃棄される鉄道部品の需要と供給をマッチングし、鉄道部品の取得・販売事業を考案。会社には販売による収益をもたらし、鉄道部品好きには魅力ある商品を提供し、双方において価値を創出しました。